介護職員の勤務形態は、早番から深夜勤までの時間帯によって分けられるタイプが多い。
それぞれの時間帯で、介護職員は、清掃や洗濯といった生活援助から、要介護者の食事や入浴の介助といった身体介護に至るまで、あらゆる業務をこなさなければならない。
新人スタッフがこうしたさまざまな業務をこなせるようになるまでには、数ヶ月の教育期間が必要といわれている。
1人前のスタッフを育てるために、ベテラン職員の労力も割かなければならないだろう。
苦労して育てた新人スタッフが、一部の業務に嫌気が差して、途中で辞めてしまうことも珍しくない。

慢性的な人手不足が問題視されている介護業界では、こうした人材の損失を防ぎ、育成方法や勤務形態を変えて誰でも働きやすい職場作りを模索してきた。
その結果として生まれたのが、介護シェアリングという発想である。
介護シェアリングはワークシェアリングに基づくもので、介護業界独自の発想ではない。
介護シェアリングとは、介護現場の仕事を細分化し、それぞれの分野に特化したスタッフを雇うシステムである。

例えば、フットケア専門のスタッフは足先のケアに専念し、それ以外の介助業務には一切関わらないのだ。
これと同様に、食事介助のスタッフは、朝昼晩の食事どきだけ出勤して、食事の介助だけを行う。
勤務形態であれば、体力に自信のない年配者や、時間にゆとりがない人なども空いた時間と自分が身につけたスキルを生かして介護現場で活躍できるのだ。仕事の効率化、細分化と聞いて魅力を感じるなら、介護シェアリングを導入している職場探しを積極的にしてみるのもいいだろう。